物語の終わり 湊かなえ

空の彼方
山間の小さな町のパン屋「ベーカリーラベンダー」の一人娘の絵美。想像力で書いた小説が、著名小説家の目に止まる。絵美は理解のあるハムさんと婚約していたが。

過去へ未来へ
フェリーの上。癌の宣告を受けた妊婦の智子。テレビ制作の仕事をしていた父親といった北海道にもう一度訪れ、たくさんの写真を撮っている。とある若い娘、萌から渡された小説「空の彼方」。智子は自分でエンディングを考えた。夢を叶えることができなかっなとしても、愛する人が後悔を抱えたままよりも、やれることをすべてやったと満足してほしいと思うのではないか?

花咲く丘
ラベンダー畑で写真を撮っている拓真。プロのカメラマンをあきらめ、実家のカマボコ工場を継ぐことになっているが、智子と知り合う。拓真の考える「空の彼方」のエンディング。文学や芸術を志すものはまず、自分に向き合わねばならない。絵美が本物の作家になるためにはまた出ていくべきではない。夢を捨てるのではない。魂が求めている作品を生み出すために、あえて、夢を突き放すのだ。

ワインディングロード

時を超えて
地方公務員の水木さんは赤いカタナ(バイク)に乗る中年。娘(美湖)がアメリカに特殊メイクを勉強しに生きたいと言って親子ゲンカ。綾子が「空の彼方」を手渡す。娘の言うことに耳を傾けるんだ。


湖上の花火
主役は一部上場企業課長のあかね。脚本家を目指す修に結局お前はお金か?と言われ別れた。水木さんから渡された「空の彼方」。私は主役を逆にしたい。ハムさんは何も悪いことをしてない。夢を持たないあなたに夢を見る私の気持ちはわからないだろうと言われるのだ。絵美と自分が出会ったことに間違いではなかったはずだ、と言い聞かせて。


街の灯り
旅路の果て