見えないほどの遠くの空を

2011年。大学の映画サークル。

大学4年生の高橋(森岡龍)は、サークルの仲間とともに、自らの脚本・監督作『ここにいるだけ』の最終ショットを撮影していたが、ただ頷くだけのはずの最後の部分で、ヒロインを演じる莉沙(岡本奈月)が高橋の脚本にないセリフを口走る。それと同時に激しい雨が降り始め、撮影は中断してしまう。その夜、自室で撮影済みの映像を眺める高橋に、仲間から電話がかかってくる。莉沙が突然の交通事故で亡くなった。莉沙は共演者の光浦(渡辺大知)の彼女だった。

1年が過ぎ、高橋たちはすでに大学を卒業し、それぞれの就職先でそれぞれの社会人生活を始めていた。ある日、高橋は、いつもの街で死んだはずの莉沙にそっくりな女性(岡本奈月)を発見する。憑かれたように後を追い、ぎこちなく会話を始めるうちに、彼女はロンドンに留学していた「莉沙の双子の妹」なのだと名乗る。