書店ガール2 碧野圭

最強のふたり」という副題がついているが、これはヒット映画のタイトルの便乗か!? でもこの「二人」とは、理子と亜紀であったり、理子と田代であったり、亜紀とそのパートナーの伸光であったり…そうも読めるのかな。
 「書店ガール」に感動して、この続編はすぐに買って、即読みしました。前半は…亜紀のご懐妊をめぐった話が長く、男女の共同作業としての子育てについて考えさせられたり、それはそれで面白くないわけではないのだが、期待していた「本屋の仕事のやりがい」の話とは「2」はちょっと違うのかな…と思っていましたが…中盤から後半にかけて、ぐっと盛り上がってきました!
 吉祥寺の書店が共同して行う「五十年後にも残したい本」のイベントは、実際にはなかなか難しいだろうと思うが、この本の中である書店の店員が言った。「このフェアをやったところで、書店業界の悪い状況が動くはずもないけれど、それでも、やれば俺たちが楽しめそうじゃない。売り上げだって少しは立つだろうし。だったらそれでいいじゃない」
 “自己満足”であっちゃいけないけど、だからといって、考え悩み、そして楽しみ、誇りを失ってしまっては閉塞状態を脱することは決してできない。
 「我々を脅かすものはいろいろあるけど、一番の敵は本に対する無関心さ、だと思う。本を読むことが面白い、本屋に行くことが楽しい、そういう想いを人々が失ったら、私たちの仕事はお終いだ、そう思うんです。」
 …ということなんだろうと思う。

 「書店のショールーム効果は馬鹿にならないはずですから。それまで知らなかった本や作者をお客様が知る一番のきっかけは、書店の店頭じゃないかしら。私たちは本を売るだけでなく、本の宣伝の最先端を担っている、と思っているんです」
 本屋がなくなる時は、ネット書店の売り上げも落ちる時だろう。なぜなら、ネットの情報だけでは、“もの”としての本の善し悪しは十分には伝わらない。本の大きさとか重さ、匂いとか手触りとか、そういうものは実物に触れてみなければわからない。

 「夢物語」であるかもしれない。でも作者の碧野圭さんは、実際に全国の書店をめぐっていろいろな店員と話し語るなかで、この作品を書いたようだ。人の心や誇り・・・まんざら夢だけで終わらないんじゃない?まずはやってみよう、もがいてみよう。

作者の碧野圭さんのブログ 「めざせ!書店訪問100店舗」