植物図鑑 有川浩

お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。噛みません。躾のできた良い子です――。思わず拾ってしまったイケメンは、家事万能のスーパー家政夫のうえ、重度の植物オタクだった。樹という名前しか知らされぬまま、週末ごとにご近所を「狩り」する、風変わりな同棲生活が始まった。とびきり美味しい(ちょっぴりほろ苦)“道草"恋愛小説。レシピ付き。

 どこにでもある雑草。でも「雑草という名の草はない。すべての草には名前がある」とえらい人がいったらしい。
文庫の冒頭に、図鑑のように「雑草」の写真のカラーページがある。おもしろい装丁だ。幻冬舎文庫やるわい。

 様々な草がこうやると食べられるんだよ...ということが目的で「植物図鑑」を作るのに、物語のスタイルで作った、ということであれば、おもしろいと思う。ただ、恋愛小説にしてしまった(作者からすればそうもっていくのは当然でしょう)ので、ストーリーの「ベタ感」が気になってしまう。イツキの実家や正体について、昔見た、昔読んだ少女漫画のベタな展開と違っててほしい、裏をかいて欲しい、「陽だまりの彼女」のようにSFチックな展開でもいいんだけどな…と思っていたのだが・・・昔見た少女漫画そのままだったのが残念。

映画化はしないでほしいなあ。でもするんだろうな。