俺たちの旅 二十年後の選択 1995

隠岐で再会してからさらに十年。四十代になった彼らは、それぞれの人生を歩んでいた。
カースケは仕事で知り合った聡子と結婚し、聡子の実家の会社を再建、社長に就任したものの、自由のない生活にうんざりしていた。グズ六は人材派遣会社を経営しているが、浮気が原因で紀子とは別居中。オメダは鳥取で造り酒屋を営み、市長選への出馬準備で忙しい日々を送っていた。
そんな彼らのもとにワカメから手紙が届く。身延で旅館を始めるので最初の客として招待したいというのだ。ひさしぶりに集まることになった彼らだが…。(1995年作品)

【他出演者】 石井苗子 山崎加根子 上村香子 小島聖 左時枝 神田うの 北村総一朗 ほか

このSP版は、カースケの選択と洋子の選択が中心。
聡子の実家の社長になって子供もできたものの、何か違うんじゃないか?と思っていたカースケが、久しぶりの洋子との出会いのなかで自分に目覚める。「そんな津村くんなんて見たくない。私が好きだった津村くんはもっと堂々としていた!」

普通だったら40歳にもなってこんなことを言う女もどうかと思う。ただ、洋子は自分がなかなか幸せではないことを隠して隠して・・・カースケにカースケらしくあってほしい、ということをどうしても言いたかった。
自分の幸せをカースケの人生に重ね合わせて、でもそう思っていることを決して知られないように・・・。
うーむ、悲しい・・・。
BGMで五輪真弓「さよならだけは言わないで」、吉田拓郎「人間なんて」、小椋桂「めまい」

「どうして?一人でマジョルカ島に行くなんてするの?」
「洋子に言われて、俺は自分の人生を大事にしたいと思ったんだ」
「だめよ。奥さんと子供捨てるなんて、そんなことしちゃダメ、津村くん。」
「行け、って言ってくれよ。洋子、あなたはカースケじゃないのって言ってくれよ。
 勝手で、いいかげんで、・・・でももっと堂々としてたって・・・。そう言ってくれよ、洋子・・・。」

「津村くんらしい生き方よ。これが・・・それでいいのよ。」
「そうか、そう思うか?洋子」
「そう、思う」
「じゃあ、行くよ」・・・

「津村くん!」
「・・・・・」
(小椋桂「めまい」が流れる・・・。時は私にめまいだけを残していく、だからワイングラスの角氷・・・)
(見つめあう、カースケと洋子・・・)

「子どもが産まれるの・・・」
「え?・・・そうか」
「こんな年になって・・・」
「がんばれよな、洋子。おれも頑張る。」
「あたし一生懸命、幸せになった。十年前、津村くんと別れて一生懸命幸せになろうと思った。
 だから津村くんも幸せになってほしい。」
「なるよ、洋子。俺も幸せになる。じゃあ、行くよ・・・」
(歩いていくカースケ。駆け出して背中を見にいく洋子。
 でもカースケは振り返らず、ずんずんと歩いて去っていく・・・)

洋子の言葉
「恋愛は2人で生きる、二つの人生。結婚は2人で生きる、一つの人生。」
洋子はカースケとは結ばれない運命だったが、カースケの人生に自分の人生を重ね合わせ・・・。
カースケ、グズ六、オメダがそれぞれささやかながら幸せに生きていくエンディング。
マジョルカ島へ旅立つジャンボジェット機
公園から一人空を見上げる洋子。表情が和らいでいるのが救い。
洋子にも幸せになってほしい・・・!


人生には
いろんな別れ道がある
いつの日か また
会うことがあるかも知れない
どこにいても いくつになっても
心はひとつ 俺たちの旅