100万回の言い訳  唯川 恵

知り合った頃、この人と恋人になりたいと思った。恋人になったら、結婚したいと思った。夫婦になった今、次はどうすればいいのだろう―。士郎と結子は結婚七年。平穏な生活で仲は悪くない、だけど何か足りない。ところが思いがけない事による別居生活が始まって、ふたりは…。離れて、恋をして、再び問う夫婦の意味。結婚に悩めるあなたの胸に、静かな波紋を呼び起こす長篇小説。

「士郎」と「結子」の夫婦。結子の9歳年下の同僚の「睦人」。士郎が勤め先(居酒屋つるや)を紹介した未婚の母の「志木子」。この4人が主人公となって、15〜20ページずつ、それぞれの視点で語られていくスタイルで綴られる。また、睦人の学生時代からの知り合いの「伊島」もストーリーのなかで絡まっていく。

 物語として次が気になり一気に読んだ。ただ、士郎や結子の行動や考えに「ある、ある」と感じることはほとんどなかった。また、物語のストーリーにも爽快感があったわけでもない。「100万回の言い訳」という表題もストーリーと切り離されて、作者が好きで使いたかったフレーズであるように思った。
 ただ「志木子」(しーちゃん)については、幸せになってほしいと思って読み、途中うるっとしたり、ほっとしたりした。